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眠さを堪えて、疲労をこさえて

一昨日きやがれ睡魔君。諸君、聞いてくれ、睡魔君抜きで聞いてくれ。
我輩は思いついた。何をって。茶々を入れるな。何、茶を出せ?
これはすまない、粗茶でなんですが。また、話の腰を折りおって。
オリオンに誓って成敗するぞ。ナニナニ、我輩の話を聞いてくれ給えよ。
駄賃をやろう。この野郎。十円じゃコーラも買えないだ。資本主義の豚め。
様相が赤いとなれば共産主義という可能性も。そこな顔の青い奴。
こっちへこい。(血みどろにする)。こやつ赤だな。憲兵を呼べ。
話が逸れたな。おい君。この話を元に戻したい手伝ってくれ。
昔からよく反るやつでな。湿気と横槍にはトコトン弱い。
よしいいだろう。こほん。咳払い一つ。仰々しくも空々しく。
我輩は城を作った。驚くなかれ。驚くなかれ。あれえ。どうした。

先生、残ったのは僕一人でございます。

惨憺たる結果だ。

予測はできたでしょうに。

叡智の権化と呼ばれた我輩にも漏れるということはあるのだよ。

その漏れ残りが私というわけですか。

雑光!(ざっつらいと)
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行き先不明小説その3

マルコの訃報が地方新聞の片隅を飾ってから、
すでに数週間が過ぎていた。
主人のいなくなった事務所では、以前と変わらず定期的に
助手のマリアファリナが雑務をこなしている。
長い欠伸をする猫は、帽子屋根の上で今日も転寝をする。
魚屋の店主の酒焼けした声が往来に響き渡る。
いつもと代わり映えのしないモンテモテシティの午後の昼下がり。
しかし確実にマルコの存在が欠けていた。

大気が震える音を聞いた。
地響きにより地表の砂が巻き上げられるのを見た。
空からやって来たものは、人々に第二の目蓋をおろさせる。
主人を失った世界の崩壊が近づいていた。

その日、突然に人類史は幕を閉じた。
マルコは最後まで自分が殺された謎がわからなかったのだ。

行き先不明小説その2

ペチロット岬は郊外に隣接したベットタウンの
いわゆる自殺の名所として知られた場所だった。
毎朝の通勤ラッシュに精神を擦り切らせたサラリーマンが、
夜な夜な岬をプラットホームに見立てて行列を作っていた。
日に日に減少する町内人口。
町長はこの緊急事態に歯止めをかけるべく秘策を講じた。

吹き荒ぶ潮風を皮の外套で遮りながら、
マルコ・ロッシは助手のマリアファリナに事のあらましを説明していた。
「マリアファリナ君、驚愕の事実だが聞いてくれるかい。」
飄々とした口調だが窪んだ眼窩がこれから言うことの
重大さを雄弁に語っている。
首を傾げ、助手然とした態度をマリアファリナは丁寧に演じた。
「今回の依頼は、端的に言えば町興しだ。
 だが、残念なことに私はその術を心得ていない」
「つまりはいつも通りということですか」
マルコは一瞬、口を噤んだが、次の瞬間口角を盛り上げ快濶に述べた。
「私が解決できない事件は存在してはならない。
 私が世界で一番嫌いなものは解けない謎なのだよ」
「準備はできております。」
そう言うとマリアファリナは女性には不釣合いなボストンバッグを掲げた。
所々に補修の後が目立つそのバッグは地面に下ろされると
重々しい何か金属性の音を立てた。
「対象はこの謎を知っているもの。つまりは、町長を含めた役所の人間」
「場合によっては対象は町全体に及ぶ可能性もあります」
「構わない。謎を知るものを――」
鳥打帽を深くかぶり直し、マルコ達は町へと下っていった。

名探偵マルコ・ロッシ
「うわやべえ、この謎わかんねえ。いいや関係者みんな殺して隠蔽しよう」

行き先不明小説その1

名探偵マルコ・ロッシの徒然

モンテモテシティ掃き溜め横丁には今日も自作ヌンチャクを
見せ合う自称小学生達で溢れかえっていた。
照りつける日光を遮るビル郡に隠れ、
無名のヌンチャク使い(ヌンチャカー)達は違法性の高いギャンブル、
ヌンチャクカルタに興じている。
その雑踏をかき分けて、中心地、ヌンチャカーの
首領であるヌランダルに近づく鳥打帽をかぶった男がいた。
周りより年嵩のその男性は、年相応の低い声でブツブツと
何かを首領に伝えている。
断片的に聞き取った言葉を繋げていくと、
どうやら例の襲撃事件について言付けているらしい。
周囲に言い知れぬ緊張感が走り、いつしかヌンチャカー達は
手を止め、その男に見入っていた。
(安い擬音)――静寂を乱す突然の銃声に気がついた者は誰もいない。
銃声が耳朶に響き、首領が撃たれた事に誰もが気づいたときには、
鳥打帽の男の姿はそこにはなかった。
事実は空白を挟み、薄もやの向こうに霞んで消えた。

足跡のかわりに謎を残していった男。
モンテモテシティのセントラルにある安アパート。
錆び付いたドアには赤茶けたペンキで
こう書かれている――マルコ・ロッシ探偵事務所。
ドアの向こうの奥の奥、雑然と積み重なった書類に囲まれ、
先程の鳥打帽の男がパイプをふかせていた。
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