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行き先不明小説その2

ペチロット岬は郊外に隣接したベットタウンの
いわゆる自殺の名所として知られた場所だった。
毎朝の通勤ラッシュに精神を擦り切らせたサラリーマンが、
夜な夜な岬をプラットホームに見立てて行列を作っていた。
日に日に減少する町内人口。
町長はこの緊急事態に歯止めをかけるべく秘策を講じた。

吹き荒ぶ潮風を皮の外套で遮りながら、
マルコ・ロッシは助手のマリアファリナに事のあらましを説明していた。
「マリアファリナ君、驚愕の事実だが聞いてくれるかい。」
飄々とした口調だが窪んだ眼窩がこれから言うことの
重大さを雄弁に語っている。
首を傾げ、助手然とした態度をマリアファリナは丁寧に演じた。
「今回の依頼は、端的に言えば町興しだ。
 だが、残念なことに私はその術を心得ていない」
「つまりはいつも通りということですか」
マルコは一瞬、口を噤んだが、次の瞬間口角を盛り上げ快濶に述べた。
「私が解決できない事件は存在してはならない。
 私が世界で一番嫌いなものは解けない謎なのだよ」
「準備はできております。」
そう言うとマリアファリナは女性には不釣合いなボストンバッグを掲げた。
所々に補修の後が目立つそのバッグは地面に下ろされると
重々しい何か金属性の音を立てた。
「対象はこの謎を知っているもの。つまりは、町長を含めた役所の人間」
「場合によっては対象は町全体に及ぶ可能性もあります」
「構わない。謎を知るものを――」
鳥打帽を深くかぶり直し、マルコ達は町へと下っていった。

名探偵マルコ・ロッシ
「うわやべえ、この謎わかんねえ。いいや関係者みんな殺して隠蔽しよう」
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